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クロビル

東京下町、かつての活況を失いつつある商店街に面して建つ複合ビル。裏の通りを走る都電脇道路の拡幅に伴い周辺の多くの建物の建替が始まった。この建物もそのうちのひとつである。建主の家と店主を勤める蕎麦屋、賃貸住宅を複合するため、幼少からこの場所で育った建主にとって、周辺環境に埋没しない建物とはしつつも、突出して目立ちすぎることは避けたかった。日を除け雨を切る小庇がつくるダイナミックな凹凸、OSB合板のテクスチャが転写された微細な凹凸、そしてコンクリートの細かなムラ。これら大小さまざまな凹凸に太陽光が降り注ぎ生まれる刻々と変化する陰影が、コンクリート型枠パネル割ごとに塗り分けられた黒の濃淡と重なり、建物に深く多様な表情を与える。新旧大小の建物がつくる雑然とした街の風景に馴染みながらも埋没しない存在感を獲得できるのではないかと考えた。

住宅+賃貸+店舗の複合ビル・新築

所在地:東京都豊島区

面積:214.99㎡ / 竣工:2013.3

施工:栄港建設

写真:阿野 太一

木下昌大建築設計事務所在籍時担当